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2006年8月10日 (木)

『美しい国へ』安倍晋三著(文春新書)

次期自民党総裁に最も近いと言われる安倍晋三氏の本。
実に理路整然と書かれており、とても読みやすい。
これからの日本の政治に関心を持つならばぜひ読んでおきたい本だ
と思った。

安倍氏はマスコミ的評価では小泉後継者と言われているが、
決してそれだけではないと思った。

言ってみれば、小泉氏は自民党史の中に突然咲いたあだ花のようなもの。
しかし、安倍氏はれっきとした、自民党保守政治の伝統を受け継ぐ人だと思う。

例えば。
日朝平壌宣言で、小泉氏は国交正常化を焦り、それを自己の実績にしたいという
功名心があったと思われるが、北に対する妥協を許さなかったのは、安倍氏が
同行していたからだ。

また、この5年間の経済政策で「格差社会」なる言葉も出現し、生活現場における
歪みが出てきたが、安倍氏は「再チャレンジが可能な社会へ」ということに力を入れて
いる。

巷には、「おぼっちゃん」「プリンス」「若すぎる」という批評もあるが、この本を読めば、
そういう評価は誤りで、国を背負うにふさわしい志と気概を持った政治家であることが
わかるだろう。

岸信介の孫ということで、日米安保条約をめぐって自分の祖父がデモ隊に囲まれた
のを幼い時分に目の当たりにした。また、神戸製鋼でサラリーマンの経験もあり、
その後、安倍晋太郎の秘書としてさまざまな政治の現場に立ち会っている。
外遊経験も豊富である。それに、これだけの内容を、一般人にもわかりやすく
理路整然と書く人である。頭もいいに違いない。

これだけの人を、単に「小泉の後継者」と言ってしまってはご本人に失礼だろう。

この本の中には、五人の拉致被害者奪還のプロセスも少しばかり書かれている。
日米関係のあり方、日中関係のあり方、少子化、年金、教育、ナショナリズム
などに関する見解が述べられている。次の総理になる人がそれらについて
どう考えているか、政治に関心のある人ならば誰もが知りたいことだろう。
それらについて、個人的な愛憎からではなく、政治の現場の経験を踏まえて
極めて理性的に書かれている。

政治家にも大きく分けて二通りいるだろう。
一つは、個人の功名心や政治的怨恨を原動力に動く人。
自民党脱党以来、常に「自民党憎し」の一念で動いている小沢某などはこれではないか。
もう一つは、前者とは逆に、たとえ我が身と引き換えにしても国を守ろうとする人。
デモ隊と闘った岸信介や安倍氏などがこれではないだろうか。

私はこの本を読んで、安倍晋三という人が、これからの日本の姿を明確にビジョンとして
描いていることを確信した。自民党総裁選に関心のある人、また、これからの日本政治
に関心のある人はぜひ一度手にとって読んでみてほしいと思う。

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コメント

同感です。私はご縁があって、小泉首相が当選3回くらいの陣笠議員に毛のはえた頃から、知っていますが(別に、個人的な付き合いはないですよ)、彼が異能の方であり一角の政治家であることは知っています。けれど、所詮「小泉氏は自民党史の中に突然咲いたあだ花のようなもの」である。安倍氏に期待する所私も大きいです。今後ともよろしく御願いいたします。

投稿: KABU | 2006年8月11日 (金) 13:43

KABUさま
コメントありがとうございます!
実に力強く、清々しい読後感を残してくれる一冊でした。
なお、KABUさまのブログにも早速訪問させて頂きました。
またいろいろと勉強させて頂きます。
よろしくお願いいたします。

投稿: 暴れん坊テナーマン | 2006年8月11日 (金) 13:58

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