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2006年8月19日 (土)

『外交敗北』重村智計著(講談社)

夏はやっぱり読書の季節。
というわけで、重村智計氏の『外交敗北』(講談社)を読んだ。
とても面白く、ぐいぐいと引き込まれていった。
とりわけ、小泉首相の訪朝前後のいきさつは圧巻である。

とりわけ印象に残ったのは、

■日朝関係は日米同盟の問題であり、日朝が勝手に国交を正常化
することは日米同盟の破棄を意味する。したがって、直前まで小泉首相
の訪朝を知らされていなかった米国は激怒し、日米同盟はこの時危機に
陥った。

■自民党議員を含む国会議員の国対的外交、利権目的の個人外交、
外務官僚の、個人の実績目当ての外交が、国益=国民の利益を
著しく損なっている。

等々。

ところで、みなさんは覚えておいでだろうか。
5人の拉致被害者が帰国したときに、日本は国家の意志として
5人を返さないと決めた。それに対して、「日本は北朝鮮との約束を
破った」とか、「それは5人に対する日本の逆拉致だ」というような
ことを言う人たちが、日本人の中にもいたことを。

もしもその人たちの言うとおりにしていたら、帰国者たちの今日は
ありえなかっただろう。

それが、なぜそうだったのかということも、克明に書かれている。

ここでやはり心に銘記しておかねばならないのは、国家の意志を明確にし、
5人の日本人とその家族を無事帰還させた安倍晋三氏と中山恭子氏の
功績は大きい
、ということである。

北朝鮮は安倍晋三氏が嫌いである。だからこれからも親北的な勢力を
使っていろいろな攻撃を仕掛けてくるだろう。しかし、われわれは、
それに惑わされてはならないということである。

また、横田さんがブッシュ大統領と面会したときに、「ブッシュのパフォーマンス
だ」という声もあったが、アメリカは違法行為を嫌う国であり、自由と民主主義、
基本的人権という価値観を共有する国であることを忘れてはいけないだろう。
アメリカは単純だけれども、あたたかい国でもあるということを。

奇しくも先日NHK「日本の、これから」という番組で、「アジアか、アメリカか」
というようなことをやっていたが、ナンセンスである。現在の韓国のように、
アメリカを離れて自主外交みたいなことをしていると、北の思惑にまんまと
してやられるだろう。日本は、その轍を踏んではならないだろう。

とてもここには書ききれないが、日朝関係、日米関係を考える上で、多くの
示唆に富んだ好著である。多くの方々にぜひ一度読んで頂きたいと思う。

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コメント

「日本の、これから」、私もその部分を見ていましたが、「アジアかアメリカか」ではない主張を姜さんはしていましたよ。出席者の一人の人は、札を上げるのに、「姜さんの主張を支持するが、答えの選択肢としてアジアかアメリカかのような質問になっているから、そのどちらでもない3番を上げる」と、わざわざこだわってましたが。
形式上あのような質問形式になっただけだったのだと思いましたけど。

投稿: 野良狸 | 2006年8月26日 (土) 19:56

>野良狸さん
「アジアか、アメリカか」と訊かれて「そういう問題ではない」と答えるセンスは極めて健全なものではないでしょうか。外交というのはきわめて多様な国家の力関係の中で絶妙なバランスをとりながらでないとやっていけないものですから、「アジアか、アメリカか」という質問は杜撰に過ぎます。私は、公共放送でありながらそういう質問を投げかけるNHK(というか、番組制作者)にこそ不信を感じました。

投稿: 暴れん坊テナーマン | 2006年8月27日 (日) 07:37

いえ、ですから、あの番組はそういう意図でもって質問をしてはいませんでしたよ、と私は伝えたかったんですが…その質問の始まりから最後までを見て内容を把握していないと、確かに誤解されるところはあったかもしれないけど。

たまにこちらを覗いて、なんだか、私のブログの文章に同意してくれていたころのテナーマンさんじゃなくなったなあ、と思って見ていました。そして、この文章では、いやそうじゃなかったけど、と思って書いてみました。

投稿: 野良狸 | 2006年8月27日 (日) 21:20

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