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2007年3月10日 (土)

『君自身に還れ』池田晶子・大峯顕(本願寺出版社)

池田晶子さんの2冊の本を読了。

うち1冊は、『14歳の君へ』(毎日新聞社)。
毎日中学生新聞に連載されていたコラムと書き下ろしをまとめたもの。
話題になった『14歳からの哲学』よりもわかりやすいように感じた。
中学生が関心を持ったり悩んだりしがちな身近な問題から説き起こし、
それ自体が哲学=考えることの入門書となっている。
専門用語を全く使っていないけれども、歴史上の哲学者が
考えてきた哲学史を語ることにもなっている。

読み終わって思うのは、私が14歳の時にこんな本と出会えていたら、
ということである。なぜ14歳なのか?
それは14歳というのが一番悩みやすい年頃だからだと思う。
実際私もそうだった。生きるということについて。人との関係について。
自分自身について。

すべての物思う年頃の人たちが、読んでおくべき現代の古典となるに
違いない。


もう1冊は、『君自身に還れ』(本願寺出版社)。
池田さん急逝のニュースの中で、この本が出版されるということを知った。
哲学の碩学にして浄土真宗僧侶の大峯顕氏と、哲学、宗教、科学などに
ついて対話がなされている。

池田さんの理性の突出した食いつきに対し、それを大きく包むような
大峯氏の受け答えに、学者としてまた人間としてのスケールの大きさを
感じた。

思考というのも年齢とともに成熟していくものだということを池田さん自身も
感じておられたようだが、これから池田さんの思考がどう成熟していくのかを
読めなくなってしまったということが残念で仕方がない。
本書を読むとそれを強く感じる。
しかし彼女は言うだろう。「あとは自分で考えよ」と。

「あとがき」の日付が、「2007年3月」となっているのが、とてもせつなかった。

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